2002年MotoGP用ヤマハ・4ストマシン「YZR-M1」のテストが順調に進んでいます。この2~3月には、欧州各GPコースで、決勝レース距離を射程に入れた最終テストを経て、4月の鈴鹿で実戦投入。マールボロヤマハチームのビアッジ選手とチェカ選手の2人が駆ることになります。
「YZR-M1」には、全面新設計で軽量・コンパクト・高性能を具現化した水冷4ストロークDOHC並列4気筒5バルブ990cc(未満)エンジンが搭載されます(エンジン単体重量は現行のSB仕様の「YZF-R7」(749cc)用比較で約10%軽量)。吸気はキャブレターを採用し、最高出力は200PS以上を絞り出します。 フレームには、全面新設計アルミ製デルタボックスフレームを採用。GP500で実績を誇るYZR500のフレームを設計のベースとし、4ストの特性を効果的に引出すことを照準に、諸元値及びパーツの相対的な位置関係の最適化を図ったものです。GPマシンの基本となる優れた剛性バランスを実現しています。また可変ヘッドパイプ、可変ピボット軸などの機構を採用し、コースの特徴や気象条件に応じた素早くキメこまかなセットアップが可能となっています。テストの進行具合とマシン状況について、依田一郎YZR-M1プロジェクトリーダーは、こうコメントしています。 「1973年以来2ストGP500の開発を進めてきましたが、いま我々ヤマハは、二輪のGPマシンとしての総合性能は、“ドライバビリティ”にあると考えています。YZR-M1の開発においても、そのドライバビリティ開発を主眼としました。 より扱いやすいパワー特性の開発を最優先課題としています。最高出力だけを考えれば更にアップも出来るが、それがタイム短縮や戦闘力向上に繋がるとは限りません。リアタイヤが駆動する感覚がライダーに伝わりやすく、路面コンタクトが出来、またタイヤ性能を効率的に引出せるエンジンと車体の特性を狙いに開発を行ないました。キャブレターの採用も、この背景から現時点でのベストな選択と判断したもので、特に加速・減速時の良好なドライバビリティを引出しています。 負圧差を利用してガスを吸い上げるキャブの原理は、あるところではマシンを操る人間側のファジーな部分をカバーする役割を果たします。また、一般にFIに比較するとキャブはガソリン霧化時の微粒子特性に優れ、これは良好なドライバビリティを生む要素ともなるからです。 この12月段階では、エンジン懸架位置、前後重量配分などもほぼ決まり、ビアッジ、チェカ両選手からも高い評価を得ています。引き続いて改良、調整を加えていきますが、開幕前にはよい状態に仕上る予定です。乞うご期待。」
開幕戦は4月の鈴鹿サーキットで行なわれます。
yzr-m1エンジン
2002 yzr-m1主要諸元 |
●エンジン/水冷4サイクルDOHC・5バルブ●気筒配列/並列4気筒●排気量/ 990 cc未満●最大出力/ 200 PS以上●クラッチ型式/乾式多板●変6速速●フレーム型式/アルミ製デルタボックス●燃料タンク容量24リットル●重量/ 145公斤以上(鱼翅競技規則に準じる) |
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