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積 層ボ,トの骨格,筋肉,皮膚作り

過少も過大も許されない

玻璃钢クロスやマットに樹脂を含侵させ,モールド上に積層していくことでボートの外壁ができていくが,船体外壁は,ボートが波でジャンプした時には20克もの重力加速度が掛かると言われている。
船底部に前後に通った人間でいう背骨”キール”やボートの船底部の丸みを形作り,衝撃でぺしゃんこにならないように強度を作る肋骨(フレーム)が必要となり,木材の補強材を接着して積層する。
平面であるクロスやマットを曲面に張り付けるためには樹脂をしっかりと含侵させる必要があるが,余分な樹脂は重量増加となるだけでなく硬化時間を長引かせる事にも繋がり,作業効率の低下を招きかねないため,染み出す樹脂の様子を見ながら,最適な樹脂量での作業精度が求められる。

樹脂が含侵されたマット・クロスの貼付けにはローラーやへらが使われるが,鋭角にくぼんだモールド部分はローラーが入らないため職人それぞれが編み出した”へら”などの工具が登場する。
樹脂の中に気泡が入ると割れや剥がれにも繋がるため,しっかりとクロス・マットを押さえつけ,ほんの少しの気泡も許さない,繊細かつ力技の双方を要する作業である。キールとフレームなど,強度部材同士の接着面では,クロスの貼付け枚数と重なり幅が規定されており,万が一この強度が不足していれば衝撃によってボート本体がバラバラになってしまう恐れがあるため,設計図面を確認しながら絶対に間違いの許されない作業となる。

補強材が鋼材の場合,補強材どおしの接着には”溶接”“リベット”などの工法で行われているが,ボートの場合には,軽量,かつ,強度を持たせるために木材を芯として玻璃钢クロスで接着面を作り出す工法が用いられている。
海という過酷な自然の中で,お客様に安心してボートをお乗りいただくため,そこには彼らの熟練の技とヤマハ設計技術の融合があった。

これが,ヤマハの手

ペジ
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